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リサイクルポリエステルってどんな素材?リサイクルの工程やECOPET®についてご紹介します。

繊維インサイト2023年4月11日

近年では、SDGsへの取り組みによってリサイクル素材の関心が高まっています。しかし、一口にリサイクルと言っても様々な原料や手法があります。
今回は、仙田が在庫するリサイクル素材の中から、リサイクルポリエステルについて、その製造方法などをご紹介いたします。

目次
リサイクルポリエステルとは?
リサイクルの工程について
ECOPET®とは?
仙田で取り扱いがあるリサイクルポリエステル(ECOPET®)素材
ナイロン、コットン、漁網リサイクル素材のご提案
まとめ

リサイクルポリエステルとは?

基本的にポリエステルやナイロンといった合成繊維は石油から作られた樹脂を原料としています。ペットボトルなどの容器も同じ原料を使っており、PET(ポリエチレンテレフタラート)というのはポリエステルの一種です。
同じ原料を使ったペットボトルやポリエステル素材の衣料品等を回収し、再び繊維として作り直したものがリサイクルポリエステルと呼ばれます。
リサイクルという言葉からリサイクルポリエステル(再生ポリエステル)は再生繊維とも呼ばれますが、元々繊維業界で再生繊維というのは木材パルプや綿などの天然繊維を科学的に再生して繊維にしたもので、レーヨンやキュプラなどのことを指します。近年ではリサイクル素材が普及してきたため、①レーヨンやキュプラなどの再生繊維と②エコ、サスティナブルの観点からリサイクルされた再生繊維の2つの意味が生まれています。

リサイクルの工程について

リサイクル繊維を作る工程は、原料によって様々な手法がありますが、ポリエステルの場合は大きく分けるとケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルの2つがあります。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは回収した素材を科学的に分解し、原料に戻して新しい素材を作ること。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルはその素材のまま粉砕したり溶かしたりすることで繊維の前の段階に戻し、再び紡糸し直すことです。

ケミカルリサイクルのメリットは原料レベルまで戻すことで異物やごみの除去が可能だったり衛生的にも石油から作られたものと同じ安定した品質を生み出せることです。しかし、それには高い技術や設備、コストが必要となります。
一方で一般的なリサイクルで想像される工程はマテリアルリサイクルとなります。
ペットボトルやポリエステル製品を回収。廃棄物を粉砕・溶解し、ペレットと呼ばれる糸の前の段階の粒に戻します。そこから再び紡績、製織することでリサイクル生地が作られます。
これらの糸は粉砕した段階で混入する異物を100%取り切ることができないため、繰り返しリサイクルされることで品質を保てなくなってしまう問題があります。リサイクル活動の活発化により日々技術は進歩し、クオリティの高い素材が生み出され続けていますが、リサイクル素材を購入する際にはその様な注意点を覚えておくとよいでしょう。

ECOPET®(エコペット)とは?

ところで、ECOPET®という素材について皆さんご存じでしょうか。ECOPET®は帝人フロンティア株式会社が開発したリサイクルポリエステルの登録商標です。
ECOPET®は回収した使用済みPETボトルなどを原料とし、生産されたリサイクルポリエステル繊維です。新たな石油を使わず資源を有効活用し、環境負荷軽減に大きく貢献します。
帝人フロンティア株式会社のECOPET®はトレーサビリティがしっかりとしており透明性の高い素材です。

トレーサビリティ

トレーサビリティとは「追跡可能性」という意味で、原料の調達から製造などの流通の工程を追うことを指します。これらの工程の中で「本当に環境に配慮された原材料が調達されているか」「労働や人権が守られた場所で作られているのか」などと言った不透明になりやすい情報を明確にすることで信頼を得ることができます。継続的にSDGsを意識した活動を行うには、そのような観点からも保証される商品が重要となります。

仙田で取り扱いがあるリサイクルポリエステル素材

今回は、仙田で在庫しているECOPET®を使用した商品についてご紹介します。
認定を受けた商品にはECOPET®専用タグ(※有償)を付けることができます。
サンプル帳のご送付、サンプルカットは1m~のご対応もしておりますので、ご興味のある素材は是非お問い合わせください。

#483 セルジュ(デニム風T/Cツイル)

タテ糸にECOPET®、ヨコ糸に綿を使った素材です。
鞄や小物にデニムを使うと、周りの衣服や鞄の内側に色移行が起きてしまうため、色落ちしないデニムをコンセプトに開発したT/Cツイルです。ポリエステルサイド(ECOPET®)を染めているので、濃色でも堅牢度が高く色落ち色移りしづらく安心です。厚みは10オンスクラス(≒11号帆布)となっていますので、ポーチからエコバッグ、軽いトートバッグまで使い勝手の良い素材です。

#320 セレーノ(麻調ポリエステル素材)

混率はECOPET®81%通常ポリエステル19%で、ポリエステルでありながら、麻のような見た目と風合いが特徴の生地です。ネップを再現するため、一部通常のポリエステル糸を使用しています。また、天然繊維の麻とは異なり色落ちしにくいので、発色の良いカラーが楽しめます。素材も軽く、涼しげな印象で春夏に特にオススメの素材です。

#377 トロペット(裏地用トロマット生地)

ECOPET®を100%使用した比較的安価な、裏地に最適のトロマット素材です。ウーリー加工糸(羊毛に似せて捲縮する)のため、嵩高性があり、ソフトな張りを感じる生地です。P下も在庫しているので、転写プリントも可能です。

ナイロン、コットン、漁網のリサイクル素材のご提案

また、リサイクルできるのはポリエステルだけではありません。仙田ではリサイクルナイロン、リサイクルコットンの素材も在庫しています。
さらに、深刻な問題となっている海洋プラスチックごみの削減に取り組んだ、廃棄される漁網をリサイクルしたポリエステル素材も新たに発売しております。こちらは、ECOPET®以外のリサイクル繊維を使った生地をご紹介いたします。

#224 エコロンオックス(リサイクルナイロン/Teflon™撥水)

仙田のエコナイロンシリーズ「エコロン」の200デニールクラスのオックス生地です。
工場での製造工程に発生する繊維くずを回収したマテリアルリサイクルで紡糸されており、GRS認証を取得した糸です。新しく糸を作る場合よりエネルギー使用量やCO2排出量、廃棄物の排出量削減に貢献しています。
また、Teflon™撥水が施されているため機能裏地としておすすめの素材です。

#244 エコロンツイル(リサイクルナイロン)

仙田のエコナイロンシリーズ「エコロン」のツイル生地です。こちらは、工場で出た廃材を原料としているケミカルリサイクル素材、東レのECOUSE®(エコユース®)を使用した素材で、有償タグが付けられます。

#282 ビンテージタフタ(リサイクルナイロン)

工場での製造工程に発生する繊維くずを回収したリサイクルナイロン糸を使用しており、生産工場ではGRS認証を取得しています。また、撥水剤も環境に配慮したフッ素フリーのC0撥水を採用しています。
タスラン糸を使用したタフタで、光沢感を抑えたヴィンテージライクな仕上がりがナチュラルな印象のある素材です。

#290 オーシャンボヤージュ(漁網リサイクルナイロン/リサイクルポリエステル)

深刻な問題となっている海洋プラスチックごみ問題に取り組んだ素材です。
本素材の糸は、廃漁網を原材料にしてナイロン再生樹脂へ加工・紡糸したものです。廃漁網を身近な製品に加工することで、海洋汚染問題にアプローチします。交織している糸はリサイクルポリエステル、撥水剤はC0撥水剤を使用し、実用性と環境配慮を両立させています。

#482 ラミコット(リサイクルコットン)

国内で紡績された反毛糸を使った麻混の11号帆布です。
反毛とは、綿やウールなどの不要になった天然繊維(衣料、糸、裁断くず)をもう一度わた状に戻して紡績することです。天然繊維は合成繊維と違い溶かして新しい繊維にすることができないため、このリサイクル方法が行われます。
リサイクルされた綿は繊維が短くなりますが、紡績会社の技術により、極端に糸の毛羽立ちやネップを抑え、帆布ならではの美しい織り感を再現しています。

#488 キャンパー(リサイクルナイロン)

ヨコ糸にリサイクルナイロンのスパン糸、タテ糸にコットンを使用した11号帆布クラスの生地です。天然繊維との交織が特徴的なサスティナブル素材で軽く毛羽が残るオールド感のある帆布です。
使い込むことで経年変化による自然な色落ちや、革の様に素材を育てるといった楽しさが生まれます。

まとめ

ご希望の方にはサンプル帳をお送りしていますので、ご興味を持っていただけましたらぜひサンプル帳請求フォームよりお問い合わせください。また、裏貼りやプリントなどの二次加工も承っております。お気軽にご相談ください。

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